堤義明逮捕
その昔、西武鉄道という会社に対して文句を述べていた割に、このニュースに対して飛びつくのが遅かったのだが、「睡眠時間を優先して書いていなかった」というよりは、「調べ物があって書いていなかった」というところ。
何を調べていたかというのは、そもそもの話から始まるのです。まず、私という人間は東急田園都市線のとある街で育って、都内に就職したのを機に23区内に引っ越して来た人間です。で、男の子だった私は、多くの子どもと同様に鉄道好きで、かつ、東急田園都市線という電車がとても好きでした。その好きな理由を列挙すると、
1. オールステンレスの美しい電車(8500系という電車で今も走っている*1)
2. 踏切が全くない線路
3. 広くてきれいな駅
4. 自分の住んでいる街を走っている
そんなところです。ここで脱線すると、いまいちばん美しいと思われる電車は
です。どうも、むかしといまとで、あまり趣味は変わってないようです。
で、そんな人間が最初に住んだのは有楽町線沿線で、地下鉄のため電車の存在感がないので、特にイメージはないのですが、その次に住んだのが西武新宿線沿線で、これが西武鉄道に対するイメージを完全に悪化させたのでした。理由は、
1. 黄色くてセンスのない電車
2. 踏切だらけの線路(さらに始末に終えないことに、開かずの踏切だらけ)
3. 駅は狭い上にきたない
ということで、田園都市線の対極のような路線です。
で、調べ物ですが、西武線に対するイメージが悪いのは、個人的なものじゃなくて一般的な話だろうということで、住みたい街の調査結果などを探して、それを鉄道会社で分類・集計するとどうなるかをやってみたのでした。もとネタはhttp://www.walkerplus.com/newlife/tokyo/no50.htmlなるページのアンケート結果です。
で、この50位までの駅の中に、各鉄道会社が何回登場するかというのを集計しました。
トップは営団地下鉄です。山手線の内側は地下鉄しか走っていないことと、主要ターミナルを制覇して荒稼ぎしているためトップです。また、JRも山手線や中央線という人気路線を抱えていることもあり、上位に来ました。ターミナルはほとんどJRがありますので、その点でも強い。
以下は、郊外の私鉄が占めるわけになります(都営地下鉄という例外もありますが)。
郊外の私鉄では東急が断トツで、しかもこの街ランキングのトップの自由が丘は東急しか走っていない街です(5位代官山、8位二子玉川、9位三軒茶屋も同様)。ということで、私鉄では東急沿線の街というのは評価が高いのは一般の人も同様ということが裏付けられました。かつ、東急の特徴としては、
単独会社の駅で数えると、12回で断トツ1位(2位は3回の東京メトロとJR東日本)
この50位までに登場した駅を路線図に当てはめると、田園都市線は渋谷〜二子玉川、東横線は渋谷〜自由が丘の全ての駅が登場する
というところです。あ、ちなみに、上に挙げた区間には踏切は存在しません(ただし、自由が丘駅の大井町線に踏切がある)。
その昔、「箱根戦争」といわれるバトルを繰り広げたもう一方の西武鉄道は、
池袋、練馬、高田馬場
という三つの駅で、池袋はターミナルなので除外すると、大江戸線開通でとても便利になった練馬と、早稲田大学の街高田馬場というところです。練馬は、大江戸線がなかったら、ランキングに登場したかどうか?
で、言いたいところですが、
東急は街がきれいで駅もきれい。踏切もない。人気が高い。
西武は街はともかく駅がきたない。踏切だらけ。あまり人気がない。
という現状は以下にしてうまれたかというと、やはり両者の投資の方向性が違ったからじゃないかと。
東急は、街づくり、駅、鉄道に投資
西武は、リゾートに投資(街、駅、鉄道はおろそか)
踏切をなくすという取り組み一つ取ってみても、鉄道会社には直接収入にはならないことです。が、そういう直接収入にならない取り組みに地道に金をかけていると、最終的にきれいな街にきれいな電車が走るという結果につながって、沿線の人気が高まるという結果となるのでしょう。ざっくばらんに言うと、
ということになります。
こんどはみずほ銀行から奇しくも「ゴトウ」という名前の社長(ライバル東急電鉄の創業者は五島(ゴトウ)慶太)が来るそうなので、東急みたいなきれいな街ときれいな駅ときれいな電車の西武鉄道にしてもらいたいものです。