とりあえず、なんか書きますか。

はてなブログに引っ越してきました、読書メモと日記を不定期に書いていくブログです。不定期なのは、相変わらずです。

リスクに対する感覚について(その1)

米国の牛肉の輸入再開に関しては、かなり政治的な解決が図られたようです。
それはともかく、ひとりの人間にとってみれば、日本とオーストラリアと中国の牛肉に比較して、米国の牛肉を食べることのリスクが高いのかどうか、という判断をすることになるわけです。で、判断の材料は以下のとおり。

  • 狂牛病が発生している国の牛肉を食べることは、そうでない国の牛肉を食べることよりいくぶんかリスクは高い。
  • 米国と日本は狂牛病が発生している(した)という点では同じ。
  • ただし、日本は全頭検査をやってパスしたものだけを流通しているが、米国はそうではない。
  • 米国のケースでは、牛の月齢(年齢)がある一定期間より短ければ、安全とみなす。
  • 米国では牛の月齢(年齢)の管理はあんまりしっかりしていないらしい。

これらを総合して日本と米国を比較すると、やはり日本のほうが安全に思える。

ところで、リスクというものは、相対的に比較が可能であるので、こういう比較も可能である。

喫煙者は、非喫煙者に比べて、35〜69歳では死亡のリスクは約3倍になることが、英国や米国の大規模な追跡調査でわかっている。
asahi.com:健康:喫煙(http://www.asahi.com/health/smok/03.html

たばこを吸っているグループでのがん全体の発生率 は、吸ったことがないグループに比べて、男性では1.6倍、女性で1.5倍に高くなっていました。
喫煙とがん全体の発生率(http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/14/smoke_can.html

ということで、喫煙はとてもリスクが高い。それに対して、狂牛病のリスクは、

全頭検査以前のBSEプリオン摂取による我が国全人口(1億2000万人)におけるvCJD患者の発生数は0.1人〜0.9人と予測されています。(「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について 中間とりまとめ 平成16年9月 食品安全委員会」より抜粋)
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に関するQ&A(http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/vcjd/index.html

これは厚生労働省の資料なので、人によっては数字は当てにならないと取るかもしれません。が、日本でがんで亡くなっている人は年間で約30万人なので、仮に狂牛病の予測値が100倍低かった(つまり、予測値が実際の100分の1)としても、たばこのリスクのほうが全然高い(たばこは、年間数万人のレベルである)。
また、多くの環境基準(大気、水道など)は個別の項目について生涯の発がんリスクを10万人に1人か100万人に1人にしているので、年間の発がん数は数人から十数人というレベルになる。発がん物質は複数あるので、実際にはもっと大きいリスクになると思われるが、仮に10個の項目が基準値ぎりぎりだとして年間百数十人のレベルになる。狂牛病よりは危ないけど、たばこと比較するととても低い。
だから、一人ひとりにとってみると、牛肉の産地をいろいろ考えるより、たばこを吸わないことのほうがリスクを下げる意味では非常に重要なんですが、現実を見ると喫煙率は結構高い。男性のうちだいたい半分は、この超ハイリスクな喫煙行動を取っている。
で、長くなったので、この続きは次回以降。