とりあえず、なんか書きますか。

はてなブログに引っ越してきました、読書メモと日記を不定期に書いていくブログです。不定期なのは、相変わらずです。

小さな政府

突然の選挙で郵政民営化が争点になっているかのような状況ですが、特に気になるのは、「小さな政府」というキーワードが表舞台に登場していることです。しかも、郵政公社を民営化することが、「小さな政府」の実現のために必要なんだ、というフレーズです。これは、「小さな政府」が必要であるという一つの立場を表明しています。さらに、財政投融資の改革が、「小さな政府」の実現に必要だという話になっています。
通常、「小さな政府」というキーワードは、社会政策への国の関与を減らすこと、特に国庫負担の低減化を指すはずです。郵政民営化に関して言えば、財政投融資はそもそも郵便貯金と簡易保険で集めた金の融資の問題であって、税金の使い道の問題ではありません。利子負担が結果的に税金から出ているという問題はありますが、それは市中の金融機関から調達しても同じことです。
現状では、高齢化の急速な進行に伴って、社会保障費や医療費は増加しています。さらに、この増加傾向は長期間持続することは日本の人口構成からみれば自明です。ですので、現状維持をするだけでも、日本政府は徐々に「大きな政府」になっていきます。これに対し、小泉首相は「在任中は消費税の税率を引き上げない」と言っているのですから、「小さな政府」を達成しようとするならば、社会保障や医療を切り捨てるか、公共事業を大幅に削減するか、国の人件費を大幅に削減する以外の方法はありません。しかし、国の支出に占める人件費の割合はそれほど高くないため、人件費の削減は短期的な効果はあっても長期的に見ると効果は大きくありません。公共事業を減らすというのは既に取り組まれているのですが、一方で言われているのは、社会インフラの老朽化に伴って、維持・更新にかかる費用が今後増加していくということです。そして、社会保障や医療の切り捨ては、可能性としては残っているでしょうが、選挙には間違いなく負けます。
では、小泉首相(小泉自民党)は、この選挙で何を政権公約としているのでしょうか?
郵政3事業民営化は当然ですが、こっそりキーワードとして盛り込まれている「小さな政府」という路線を、国民の審判を経た既定路線にしたいのではないかと思われます。「小さな政府」として、公的関与の少ない社会を作り上げるための方向性は、これまでの任期の中で明確でしたから。その上で、「小さな政府」を実現すべく、年金給付や医療費の削減など、選挙が控えていてはできないようなことに着手するのではないでしょうか?さらに穿った見方をすれば、「郵政民営化選挙」に自民党が勝って単独過半数を取ることができれば、公明党との連立も解消するのではないかと思われます。なにせ、公明党はどちらかと言えば「大きな政府」の方向性を持った政党ですし、さらなる年金給付の削減を実行しようとすると、公明党の中で反発が起こるでしょうから。そして、連立解消の上で民主党の「小さな政府」支持者を吸収するのではないでしょうか。