とりあえず、なんか書きますか。

はてなブログに引っ越してきました、読書メモと日記を不定期に書いていくブログです。不定期なのは、相変わらずです。

牛肉問題にみる、議会制民主主義の軽さ

米国産牛肉の輸入再開に当たって事前調査が必要であるとした答弁書に反して、輸入再開前に事前調査が行われなかったという件が国会で取り上げられています。Googleで検索したところ、当該の答弁書平成十七年十一月十八日受領答弁第四三号であると思われます。よく調べてはないのだけど。該当部分を引用すると、

厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設(以下「対日輸出施設」という。)に対する現地調査を実施することが必要と考えている。具体的には、米国政府による対日輸出施設の監督状況、日本向け輸出証明プログラムに規定する品質管理プログラムの文書化の状況、SRMの除去の実施状況、月齢二十月以下の月齢証明についての遵守状況等について現地において確認したいと考えている。

ということです。で、これが閣議決定されたんだそうですが(ここの答弁書閣議決定のプロセスをよく知らないので)、この

輸入再開以前に(略)担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設に対する現地調査を実施することが必要と考えている。

の部分が実際には行われなかった、ということ。
大きな問題は、「輸入再開以前の現地調査が必要と考えている」という点について閣議決定したのにもかかわらず、実際にはやらなかったのだけど、やらないということについての意志決定は誰がしたのか、ということです。この答弁書は「内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 安倍晋三」が提出したことになっており、閣議決定の最終的な責任者は内閣総理大臣なのであるから、少なくともこの二人がやらないということについての意志決定をしたのなら、筋が通っていてよいのです。しかし、一大臣(農林水産大臣)の判断や、単なる農林水産省職員が現地調査をやらないことについて意志決定したとしたら、議会制民主主義の根本を揺るがす事態です。つまり、

閣議決定された事項について、一大臣もしくは職員が勝手に判断してそれに反する行為を行った。

という事態な訳で、少なくともこれに関して大臣や職員の処分は必ず行わなくてはならないでしょう。職員がやったことだとしても、担当大臣の管理責任が問われます。
いまのところ、内閣はこれを誰も処分しない形で済ませようとしていますが、そうしたら結果として、

閣議決定事項を守らなくても、おとがめなし

という前例を作ってしまうことになり、結果として立法府が行政府をコントロールすることができなくなります。議会制民主主義の根幹を揺るがす事態です。こういうことをやっていて、行政改革ができるわけがありません。役人天国を内閣が自ら作っているようなものです。今からでも遅くないので、内閣総理大臣は担当大臣を罷免した後、関与した職員の処罰を行うべきです。
現状では、後付の理由である、

輸入再開後でないと実効性のある調査ができない

ということで、やらなくてもいいんだ、という話にしようとしてますが、ならば、

輸入再開後でないと実効性のある調査ができないので、輸入再開前には現地調査はしない

という閣議決定をしなければなりません。「閣議決定事項を覆すのは、閣議決定事項」というのが議会制民主主義のルールです。
あと、もう一つの後付の理由である、

米国が責任を持って施設認定する

というのは、このタイミングで持ち出すことがナンセンスです。米国側のチェック体制には重大な不備があったことが判明したからこそ、輸入を再度停止した訳ですから。

日本は何もチェックしなくてもアメリカに任せておけば大丈夫

みたいな内容ですが、こんなの今の時点でいっていること自体が、普通の人間の感覚では信じられないです。
とにかく、議会制民主主義のために、担当大臣の罷免と職員の処罰を行うべきです。特に、答弁書の提出者である安部晋三氏は、自分の政治家生命を賭けて、この処分を実施すべきです。答弁書の内容の責任は、安部晋三氏が負っているのですから。